完成 2024年2月4日 公開 2024年2月4日 最終更新 2024年2月4日 パラダイス・リゲインドの軽口感想 - ざれんの小部屋


■仮面ライダー555 軽口感想のコーナー■
~ パラダイス・リゲインド ~



☆注意事項☆
好き勝手に書いています。この場合の「軽口」とは、滑稽や面白い言葉の意でなくお喋りな様です。
これをご覧になって気分を害されましても責任は負えません。ネタバレも同様に。
苦情やご意見は掲示板までお願いします。その他雑談もどうぞ。






劇場版を観てきた。


ここまでコピペ。テンプレのありがたさを毎度思い出す。


鑑賞前状況と状態

記念作のVシネマとしてはオーズ以来。あの作品は歴史的、後世に残すべき破滅の1作であった。その為に、主要な制作スタッフが当時と変わらずでも不安を抱いていた。期待すらしていなかったから、楽しみともすら思っていなかった。


あらすじ

スマートブレイン社は政府と結託して社長の北崎を筆頭に、恥じらいの女戦士「仮面ライダーミューズ(玲菜)」を使ってオルフェノク殲滅を目指していた。旅に出た啓太郎が残したクリーニング店には、甥の条太郎と真理、いつしか帰ってきていた草加がいた。そこに乾巧の姿はない。変わって、クリーニング店2号店として開店した「菊池ラーメン店」ではオルフェノクの生き残りである海堂が店長を務めていた。真理たちと共にオルフェノクをスマートブレインの手から匿う活動をしているラーメン店では、店員が皆オルフェノクであった。そのひとりが人助けにオルフェノクの力を使うと、スマートブレインへ情報が渡る。仮面ライダーミューズを始めとした殲滅隊に狙われると、真理たちが助けに向かう。そこへ現れたのは、姿を消していた乾巧だった。以前と違うドライバーで変身する巧は「仮面ライダーネクストファイズ」として、海堂たちオルフェノクを襲う。何とか難を逃れたが、再会は始まりに過ぎなかった。真理と巧の特異な関係に、巧を想う玲菜は憎しみを覚えていく。真理を捕えた玲菜は独断で、流星塾生に埋め込まれた細胞を活性化させるよう命じる。真理は死に、「ワイルドキャットオルフェノク」として覚醒した。辺りの医師を皆殺しにするも意識はなく、何食わぬ顔でクリーニング店へと帰ってくる。繰り返される戦いの中で意識的にオルフェノクへ覚醒した真理は、人間としての死を知り投身自殺を図った。巧はそんな真理を連れて、介抱する。オルフェノクを守りながらオルフェノクへの生理的な嫌悪を露わにする真理、スマートブレインの力によって死ぬことも出来ず生きながらに死んでいる巧は「助けてくれ」と言葉を漏らす。ふたりは堕ちた者として、死んだ者として、互いを求め合う、星を眺める。関係の進展と自分からより離れてしまったことを知る玲菜は「月が綺麗ですね」と別れにも近い言葉を投げ、仮面ライダーミューズへと変身する。オルフェノクと人類の戦い。オルフェノク殲滅の為、社長自ら戦う北崎はどこかおかしい。北崎の皮膚を抉ると配線が見える。北崎はオルフェノクですらないアンドロイドであった。圧倒的戦力に、逃げる真理と巧。想いを捨てきれない玲菜はふたりに逃げるよう言うが、北崎の手によって散ってしまう。海堂たちオルフェノク、そして草加がそこへ現れ、巧は真理を草加に預けて戦う。白装束の草加は真理に手を下す。己の行いに一瞬抵抗を見せる草加であったが、その正体もまたアンドロイドであった。草加はとっくに死んでいたのだ。チョーカーが焼け「仮面ライダーネクストカイザ」へと変身した草加は、オルフェノクとなった真理の殲滅へ動く。やがて仮面ライダーミューズへ変身した北崎、仮面ライダーネクストカイザの草加の両アンドロイドを相手する巧の下へ条太郎がアタッシュケースを持って現れた。それはかつて巧が変身に使っていた、旧式のファイズドライバー一式だった。「分かってるじゃねえか!」巧は旧式の仮面ライダーファイズへと変身し、見事ふたりのアンドロイドを破壊したのだった。だが終わらない。スマートブレイン社には新たな社長、草加雅人の姿があった。ひと時の平和を得たオルフェノクたちと条太郎は、クリーニング店であの日のお好み焼きパーティを始める。本当の終わりが来るまで、彼らは戦い続けるのだ。


本編感想

またも、あらすじで力を使い果たしたので簡潔に。
井上敏樹大先生そのものの1時間だった。たった1時間、そうとは思えぬ詰め込まれた濃厚な物語。Vシネマということで、テレビ以上小説未満の豊かな表現が美麗な映像と共に美しい。田﨑監督はオーズのこともあって不安の大きなもとになっていたが、そうだった、敏樹との組み合わせでは彼の演出は無敵だった。味わい深い懐かしのシーンから、新たな展開まで、全て求めていた物以上の映像が観られたのだ。記念作としてはこれ以上無い出来ではないだろうか。当然気になる事はある。エビの姐さん(冴子)はどうなった? 王は何処へ行った? これは最終回からの展開を考えればこその疑問だが、幾ら進化したとはいえオルフェノクに20年の月日は耐えられなかったと考えるが無難だろう。期待していなかった分、予告等の事前情報を入れていなかった為に純粋に全てを楽しめたように思える。やはり作品というのはこうあるべきだ、と思ったね。ファイズの役者陣は他に比べて妙に老けたと思うが、それが経過を感じさせ、作品全体に渋みや深みを出すことに成功したとも見える。まあなんだ、100点満点なら180点くらいだろう……(照れ顔)。



アクション、音楽、その他

アクションはJACではなくBOSで、アキバレッドのアクター等の和田三四郎さんが監督を担当した。アキバレンジャーにもあったような、不自然な浮遊感とワイヤーを使ったスピード感のあるアクションが良い。宮崎でもなければ渡辺淳でもない、最新の映像での仮面ライダーはとても良い。シン・仮面ライダーがあったおかげで、余計に良く感じられた。音楽は当時のテレビBGMを映画館の音響で聴く感動、それだけで作品の締まりが大きく変わる。当時の楽曲は分かりやすく、効果的に使われていた為に頭にしっかりと残っていることが特徴。すぐに思い出させてくれる数多の名曲たちが流れるだけで、記念作としては完成されている。主題歌は龍騎と同様に、当時の作詞作曲編曲歌唱をそのまま揃えた新曲で文句なしのファイズ。ラストシーンがそのまま続いて流れるISSAの新曲に、思わずグッと来てしまう。バンダイとしては新作をやるならば新商品を、と思ってのネクストファイズやカイザ、ミューズだろう。巧の終盤の台詞「俺はやっぱりこっちでいくぜ」は流石。販促なぞ知ったことか、と旧式を輝かせる展開にはファンは感動、バンダイは激怒、といったところか(笑)。これで良いのだ。ライダーの新フォルムよりも、保のデザインした新オルフェノクを複数体見られたことに感動している。


劇場の様子

シネコンの1スクリーンが、満席で完売。そんなことは滅多になく、ファイズという作品の人気ぶりを再確認した。当然席に座れば周囲はギチギチで、いい年をしたおっさんからハゲから眼鏡からちびっ子まで、揃いも揃って夢の続きを観に来ているのだ。感動的だな。上映終了後、拍手こそ起きないものの、歓声に近い声がスクリーンを包んだ。それはオーズでは叶わなかった、それぞれが望む以上を得たことの証明になる。特に、隣の観客は本当にファイズを好きだったのだろう。開始10分程で号泣し、そこからは泣き笑いという苦しそうで幸せそうな反応を沢山聴かせてくれた。ありがとう。


おわり

期待しなければしなかっただけ、今作私は得をした。ファイズという平成仮面ライダーシリーズ4作目、そして順調に歩むことの出来た最終作であるからして失敗をどこかで恐れていた。全ては杞憂、東映の業はオーズが飲み込んでくれた。敏樹は流石である。どれだけ表現に変化があろうとも、しっかりとひとつの作品内で特撮ヒーローを描き切るのだ。生涯尊敬の眼差しを離すことは出来ないだろう。さて、ギャラクシーエンジェルでも見ようかな(笑)。